(~87、第一章まで)
現在四半期ランキング三位の作品。
正確な題名は、「僕は、七度目の人生で家族を捨てることにした ~過去六回の人生全てにおいて家族に裏切られて殺された僕は、復讐のために怪物と噂される大公家の令嬢に自分を身売りした結果、最高に幸せになりました~」です。
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主人公は貴族の家に生まれたが、母は主人公を産んですぐ他界、父は後妻との間に子供を作り、愛されずに育った。その上、成長した後、家族の誰かに殺され十四歳のときに戻る……ということを六回繰り返していた。七度目の人生で、家族への復讐のため、権力はあるがいわくつきの大公家へ養子として迎えてもらう。そこで婚約した大公家の令嬢はヴァンパイアと人との混血であり、そのせいで嫌な噂を立てられていた。婚約者と意気投合し、恋しながら復讐を実行する。
人生やり直し(死に戻り)→復讐という作品。
私が読んだ第一章まででは、「復讐」というテーマがしっかり貫かれているのが良かった。復讐を誓いループする作品は「なろう」にいくつかあるが、途中で私欲を優先したり、脇道に逸れてしまうものも少なくない。その点この作品では、ずっとテーマに従って主人公が行動するため安心感がある。
復讐がテーマだが作品の雰囲気はあまり暗くない。
それは、婚約者との恋愛(いちゃいちゃ)描写が多いせいだろう。主人公一人でではなく、彼女と二人で協力して復讐をやり遂げるという内容になっている。なお、出会ったときから相思相愛で特に波乱もないため、恋愛小説としての面白みはあまりない。
過去六回のループを生かしているか、についてだが(「六回」という数字にはあまり意味がない気もするが)、ループ中の人生で家族たちがどんな野心を持っていたかを元に計画を立てる、という風に役立っている。
復讐自体はかなり順調で意外性は少ないが、適度に主人公の予想外の事態が起こることでリアリティが出ていると思う。
綿密というほどではないけれど違和感の少ないプロットで、「復讐」というテーマで一貫していたのは好印象でした。
なお、第一章で復讐が一段落していたこともあり、この後も読みたいという気持ちには私はなりませんでした。