(~87、完結済)
6~8月に四半期ランキングTOP5入り。八月には四半期ランキング一位も取っている作品。
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父を亡くした後、叔父に侯爵家を乗っ取られ、罪をなすりつけられ処刑された主人公だが、気が付くと五年前の父が死ぬ直前に時間がまき戻っていた。叔父に乗っ取られないよう侯爵家の財産を凍結し、父が亡くなると弟と共に隣国に渡って身分を隠して使用人として暮らす。その家の女主人は孫娘を亡くし落ち込んでおり、唯一のお茶飲み友達である近衛騎士にしか心を開かずにいた。暮らしていくうちに少しずつ打ち解け、近衛騎士とも親しくなるが、だんだんと孫娘の死の謎や近衛騎士の身分の秘密が気になってくる。
やり直しもので、別の国へ逃げて仕事や恋愛をする……という部分だけ見るとよくある内容だが、隣国で全く別の事件と出会う、という構成が面白い。やり直しものだが、やり直し要素がなかったとしても十分読ませる内容になっている。
あまり知らない隣国へと渡った主人公と一緒に、読者も、その国の相続争いの状況などが分かっていくというのも上手い。その争いも面白いし、孫娘の死の謎が浮かび上がってくるというミステリー仕立てになっているのも上手い。
ただ、第七章前半の解決へ至る部分は急ぎすぎな気がした。もう少し謎を引っ張った方が盛り上がったと思う。また、ミステリーが主眼ではないので仕方ないが、ミステリー単体として見ると物足りなさが残る解決だった。
出来の良い作品ではあるが、もっと面白くできたはず、とも思わせる作品。