(~379、完結済)
現在四半期ランキング一位の作品。年間ランキングも二位に上がってきています。
https://ncode.syosetu.com/n7120hp/
主人公は、祖国が滅亡した未来の経験を持って、滅亡する二年前へと戻ってきた読書好きな文官。未来の知識を口にしてしまったことが切っ掛けで騎士団と交流を持ち、手柄をあげたことにより、軍師の助手として騎士団に入る。そして、未来の知識を用いて祖国を救うことを決意し、実践していく。
やり直しもの。
未来の知識を使って現実を改変していくというやり直しもの定番の作品だが、祖国の滅亡を回避するという壮大な目標があり、そのため、文官の主人公が似つかわしくない騎士団で活躍していくというのが面白い。
また、何度もやり直す設定ではなく、一度だけ見てきた未来を元に判断しなくてはいけないという設定がよく利いている。最初は、未来の知識を元にして手柄をあげられていたのだが、だんだん現実と見てきた未来との差が大きくなり、自分の知識で判断せねばならなくなる。それで失敗することもあり、未来の知識によらない、主人公の軍師としての成長が描かれる。
国の滅亡などを描いているだけあって、登場人物が多くスケールが大きい。全員とはいかないものの、多くの登場人物を上手く描いていると思う。国同士の関係性もポイントを押さえた描き方をしていて面白い。
中盤、若干だれていると感じた部分はあったものの、後半(第159話以降)は盛り上がり、最後まで面白く読めた。びっくりするような展開はないものの、何個か意外な展開もあり、ストーリーは最後まで良い出来だった。
ただ、文章などでは不満があった。
全体的に淡々と描きすぎている気がした。コメディタッチでキャラクターを掘り下げるようなシーンは面白みが足りない気がしたし、戦争などの壮大な物語を描いている部分の文章はちょっと軽い感じがした。
特に、ストーリー的にはクライマックスで盛り上がって欲しい部分でも、文章が淡々としているため盛り上がり切れていないように感じた。
この文章が作者の特徴なのかもしれないし、淡々と描いた方が連載だと付いていきやすいというところはあるかもしれない。とはいえ、もうちょっと緩急をつけた方が個人的には好み。
「おすすめ」にするには盛り上がりに欠ける気もしたけど、こういう壮大な物語を読みたいという気持ちも込めて「おすすめ」にします。欲を言えば、もっと壮大で、もっと長大な物語が読みたい。