とうとう、「呪印の女剣士」書籍版が発売されました!
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一番最初にレビューした小説です。この小説を紹介するためにこのブログを始めたといってよい。そんな小説が書籍化した……というのは感無量です。
ただ、不安もありました。
この小説は、今年、連載十周年&2000話を迎えました。最近、若干連載間隔が乱れたことはありましたが、ほぼ隔日更新を続けています。内容も(もちろん多少のムラはありますが)ずっと面白い。
つまり、今も完全に現役なのです。
そんなペースのままちゃんと書籍用の手直しができるのだろうか? とは、不安に思っていました。
この点については杞憂に終わりました。
書籍版は非常に読みやすかった。「なろう」版よりはっきり出来が良くなっていると思います。
ネット上で読むのと紙で読むのでは読み方が変わる人は多いでしょう。ネットでは段落分けを増やし、改行が多い方が読みやすいですが、書籍版でそれをやると逆に読みにくくなりやすい。
ネット小説の書籍化ではその辺りが気になるものが結構あるのですが、この作品では(著者が行ったのか、それとも編集者の手腕かは分かりませんが)しっかり修正されています。読み比べてみると、意外なところと段落分けが減っていたりします。
もう一つ、文章表現についても心配がありました。
この小説は、長年、二日に一度という高ペースで更新しているせいもあり、誤字や、表現のミスはかなり多い。著者の文章力自体は高いと思うので、読み直して修正すれば高い質のものになると思うのですが、それは達成できていません。私も、ある程度のミスは仕方ないと思って連載を追っています。
(ただ、今回書籍化した序盤部分は以前に何度か修正しているので、最近の話に比べると変な部分は非常に少ないです)
そういった表現上の修正もかなり修正されていました。
さらに、説明不足の部分を補ったり、重複する表現を削ったり、と、書籍を意識した説明の修正も行われています。
ただ、修正したせいで、逆にちょっと変になってしまったかな? という箇所は数個ありました。たとえば、(プロローグの追加は置いておいて)開幕、いきなり夢の中のシーンから始めるのはどうだったんでしょうか。ちょっと分かりにくい始まり方になってしまった気もしますが……。
とはいえ、面白かったです!
この序盤を読むのは数度目なのですが、予想以上に楽しめました。
そして、「呪印の女剣士」が本当に面白くなるのはこれからです。
私は、この書籍版一巻部分はそれほど高く評価していません。序盤から多様な人物が現れてはいますが、一人一人の生い立ちなどは、劇的ではあってもどこかで見たようなものが多く、あまり刺激的とは感じませんでした。そういう意味でも、今回面白く読めたのは予想外でした。
そして、(この分量のまま進むとすると)書籍三巻あたりから本当に面白くなったと思っています。多種の人物・エピソードが重層的になり、広大な世界観が読者の前に開かれてからが、この物語の本番だと思います。
今後、二巻・三巻と続きが発行され、「呪印の女剣士」の本当に面白い部分を書籍で読めることを願っています!